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2006年4月 7日 (金)

新版 お江戸七不思議-おいてけ堀

 私が当骨董屋主人の貴風堂でございます。笑わせるんじゃねぇよ、貴風堂と言やぁ、お江戸本所の回向院門前にあって、東照大権現様の治世より何代も続いている老舗じゃありゃぁしませんかってんだ。その老舗がなんでまたネコの子一匹通るのも憚(はばか)られるような、神社の裏のこれまた長屋の裏なんぞに店なんか構えてるんだい。おまけにそら、そのおまえさんの人相。貴風堂さんとは大違いのこんこんちきさ。俺いらが知ってる貴風堂さんと言やぁ、白髪の髷(まげ)をキチンと結った、どこからどう見ても大店(おおだな)のご隠居さんという御仁(ごじん)だが、そこへ行くとおまえさんはどうだい。お天道(てんとう)さまの申し子か、はたまた坊主の親戚か。こいつぁまるで、てんてんてんまり、てんてまりと毬にでもなりそうな禿げ頭だ。おまえさんもここいらが年貢の納め時さあね。他の連中は騙せても俺いらの目ん玉は節穴じゃねえぜ。とおっしゃられることは以上でございますかな、熊五郎さん。おまえさん、なんで俺いらの名前を知ってるんだい。知らないはずがないじゃありませんか、ほら私でございますよ、幼い頃に熊五郎さんと遊んだ七兵衛でございますよ。し、七兵衛だって、おまえさん、人をからかうのもいい加減にするこった。七兵衛はな、五十年前においてけ堀にはまってお陀仏(おだぶつ)になっちまったじゃねえか。ほう、お陀仏とおっしゃいましたか。もしやお陀仏とはこんな顔のことを言うのでございますか。うわっ、出たぁ、のっ、のっぺらぼうー。まったく熊五郎さんも人が悪い。お互い一緒においてけ堀にはまってお陀仏になった仲じゃぁありませんか。熊五郎さんもいかがでございますか、骨董屋商売をやられてみては。この顔を見せればみんなお金を投げ出していきますよ、ハハハハハ。

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